PROJECT STORY 02

世界最高レベルの技術の活用で、
医療現場の安全確保と負担軽減へ

顔認証システム「NeoFace KAOATO」導入事例
医療法人社団永生会 永生病院様

OUTLINE

概要

病院における高次機能障害や認知症などの入院患者さまが、突然「家に帰りたい」と思い、無断で外出したり、徘徊してしまったりする「無断離院」が年に数回ほど発生していた永生病院。患者さまの無断離院は、重大事故にもなりかねないため、時には警察やタクシー会社に捜査を依頼することもあったという。こうした離院を未然に防止するため、様々な解決方法を検討した結果、たどり着いたのがNECの顔認証システム「NeoFace KAOATO」の活用だ。導入の結果、患者さまの離院を未然に検知できたことに加え、職員の監視の負担も軽減された。世界最高レベル(※)の顔認証技術によって、医療現場の安全性を確保した先進的な取り組みとして、今もなお全国の医療機関から注目を集めている。

(※)米国国立標準技術研究所(NIST)における顔認証技術ベンチマークテストにて、4回連続で第1位の評価を獲得。
BACKGROUND

導入の背景

患者さまの安全を守るために、
あらゆる対策を講じて

永生病院は、内科、整形外科、精神科、脳神経内科などを有し、一般急性期、回復期リハビリテーション、慢性期療養、介護療養などのヘルスケアサービスを提供する地域密着型の病院だ。医師・看護師などのすべての職員がリハビリマインドを携え、チーム医療に取り組む中で、課題として上がっていたのが、入院患者さまが知らない間に無断で外出してしまう「無断離院」だった。高次脳機能障害や認知症の患者さまが、突然「家に帰りたい」と思い、外出してしまうと、その行方はものの5分で分からなくなる。無断離院が発生すると、患者さまが心細い想いをすることに加え、危険が及ぶ恐れもあり、さらには地域住民の方々へのご迷惑にもなりかねない。この重要な課題を解決すべく、永生病院では、靴の中に発信器を入れるシステム、リストバンドに発信器をつけるシステム、GPSで位置を探すシステムなど、あらゆる対策を検討。しかしながら、そのどれもが「患者さまが身につけなければならない」「誤差が生じる」などの懸念が残り、いまひとつ確実性に欠けていた。そこで白羽の矢が立てられたのが、何かを身につけることなく、安全で技術の確実性も高い、NECの顔認証システム「NeoFace KAOATO」だった。

FLOW

導入の経緯

決め手は認証技術の質の高さ、
導入の容易性、そして初期費用の安さ

NECの顔認証システム「NeoFace KAOATO」は、あらかじめデータベースに登録された人物の顔画像と、カメラが捉えた人物の顔画像を高速かつ高精度に自動照合するシステムだ。たとえ24時間体制の受付でも完璧に目を行き届かせることはできない。だが、この生体認証システムの活用により、最終的にエントランスのカメラが患者さまの顔を認識し、アラームを発報することができれば、離院のリスクを最小限に抑えることができると考えたのだ。そして、顔を認識する精度とスピード、導入の容易性、初期費用の安さが決め手となり、顔認証システム「NeoFace KAOATO」が採用され、NECネクサソリューションズにとっても初の試みとなる導入がはじまった。まず、院内2ヶ所へのカメラの設置と、見守り対象の患者さまの顔を撮影し、顔画像をシステムに登録することからスタート。対象の患者さまが病院の入り口に設置されたカメラの下を通過しようとすると、システムが速やかに認証し、職員がいる受付ブースでアラームが鳴り、パトライトが点灯する仕組みを構築した。

ACHIEVEMENT

導入の成果

駆けつけるまでわずか30秒、
無断離院対策としての効果を発揮

NECネクサソリューションズによる導入のもと、「NeoFace KAOATO」の本格運用を開始したのは、2017年3月。運用をはじめて間もない同年7月に、早速「NeoFace KAOATO」が、対象の患者さまの離院を未然に防ぐ事案が発生した。対象の患者さまがカメラの下を通過してパトライトが点灯し、職員が直ちに駆けつけることができたため、事なきを得た。パトライトが点灯して駆けつけるまで、その間わずか30秒。システムは有効に作動したのだ。無断離院が発生すると、患者さまの身の危険につながる恐れが大いにある。警察やタクシー会社、さらには自治体にも捜査協力を依頼しながら、病院の職員が総出で探し回らなければならない。その大変さを理解しているからこそ、同院は他の病院に先駆けて、顔認証システムを早期導入したことは正しかったと確信する。このシステムは、患者さまの安全を守るだけでなく、職員の業務改善にも大きな効果をもたらしたのだ。しかし、これはあくまでも併用的な施策。これまで通り、職員が緊張感を持って見守ることが重要であることに変わりはない。

FUTURE

今後の展望

顔認証技術の可能性が、
医療の未来を加速させる

無断離院の未然防止に「NeoFace KAOATO」が有効であることを確信した永生病院は、今後、必要に応じてカメラの増設を行っていく予定だ。また、同院が所属する永生会グループの他の病院にも広がりを見せているという。現在、無断離院のトラブルに悩んでいる病院は多く、この「NeoFace KAOATO」は、ランニングコストを抑えつつ安全安心を担保できるといった、画期的なソリューションとして期待が高まっている。加えて、その利用方法は、患者さまを見守るだけに留まらない。薬局の中で危険薬を取り扱う際に、薬を取り出す人の顔を照合することで、その人が登録されているか否かを判断するというシステムへの活用も検討されている。「NeoFace KAOATO」のログを残せば、適切に管理でき、効率的な運用もできるだろう。
他にも、顔認証により非接触で扉を開けることができれば、感染症対策に。さらに顔認証でPCにログインができれば、いつ誰が入力したのかを厳密に管理しなければならない電子カルテの管理の効率化にもつながるなど、その可能性は無限大だ。永生会が目指されている「病院は街づくり、人づくり、思い出づくり」の実現には、ICTの活用は欠かせない。これからも、ICTと医療の未来は広がり続けていく。