PROJECT STORY 01

新しい技術と斬新なアイデアで、
地域の歴史を未来につなぐ

被写体認識基盤サービス導入事例
瑞穂町図書館様
瑞穂町郷土資料館 けやき館様

OUTLINE

概要

東京都西多摩郡瑞穂町では、2015年より同町教育委員会が所管する瑞穂町図書館を中心に、貴重な資料である町刊行物などの地域資料をデジタルアーカイブ化してきた。このデジタルアーカイブをインターネットに公開したものの、さらなる活用促進を模索し、瑞穂町郷土資料館「けやき館」とのコラボレーションを検討していた。この取り組みを進める中で、注目したのがNECネクサソリューションズの被写体認識基盤サービスだ。この技術は、スマートフォンやタブレットのカメラで撮影した画像を認識し、被写体そのものを入力情報として任意のアクションが行えるというもの。そこで、郷土資料館の有する数々の展示物を撮影することで、関連するアーカイブ資料を閲覧できるサービスを構築した結果、来館者数が増加。一つの技術が瑞穂町の過去と現在をつなぎ、地域活性化を実現した。

BACKGROUND

導入の背景

地域の貴重なアーカイブ資料を、
より多くの方に届けるために

東京都心から西へ約40キロ、狭山丘陵の西端に位置する東京都西多摩郡瑞穂町。同町では、2015年より同町教育委員会が所管する瑞穂町図書館を中心に、貴重な資料である町刊行物などの地域資料のデジタルアーカイブ化を推進してきた。地域資料をインターネットに公開したものの、瑞穂町ではより多くの方に広めていきたいとの想いから、デジタルアーカイブのさらなる活用促進を模索していた。その中で注目したのが、瑞穂町郷土資料館「けやき館」とのコラボレーションだ。「瑞穂の自然と歴史」をテーマにした同館には、狭山丘陵雑木林のジオラマや瑞穂町の特産物、復元された囲炉裏のある民家などが展示され、企画展示室や体験学習室も用意されている。こうした展示物とデジタルアーカイブを融合できないだろうかといったアイデアのもと、新しい取り組みがスタートした。

FLOW

導入の経緯

航空写真とアーカイブの連携、
この発想が地域活性化の鍵に

数多くの展示物を有する瑞穂町郷土資料館「けやき館」。その中でも、人気を博しているのが、館内ガイダンスホールの床面に配置された、縮尺1,000分の1の町全域航空写真「バーズアイ瑞穂」だ。このバーズアイ瑞穂と、図書館のデジタルアーカイブが連動すれば面白い。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のスマートフォンアプリが流行するなど、カメラで撮影した画像とデジタルコンテンツを組み合わせる技術が身近になってきたことで、考えられた施策だった。最初は二次元コードの配置を考えたが、その方法だと航空写真の一部が隠れてしまうため、せっかくの町全域航空写真が台無しになってしまう。また、航空写真にICチップを埋め込む方法も検討したが、それでは来館者が屈んで読み込まなければならず、操作性が良いとは言えない。そこで、注目したのがNECネクサソリューションズの「被写体認識基盤サービス」だった。当時、たまたま図書館システムの説明に訪問していたNECネクサソリューションズの担当者が相談を受けたことで、本プロジェクトへのサービス導入に向けた開発運用がはじまった。

ACHIEVEMENT

導入の成果

誰でも楽しめる施策により、
来館者数の増加につながる

NECネクサソリューションズの被写体認証基盤サービスは、スマートフォンやタブレットのカメラで撮影した画像を認識し、被写体そのものを入力情報として任意のアクションが行えるというサービスだ。二次元コードのようなマーカーを必要とせず、看板、印刷物、商品パッケージなどあらゆるものを認識することができる。そこで、NECネクサソリューションズは、バーズアイ瑞穂や常設展示物を撮影することで、関連したデジタルアーカイブに誘導するシステムを構築。また、貸出用タブレットで稼働する「瑞穂町探検アプリ」を開発した。このアプリを起動し、バーズアイ瑞穂や常設展示物にカメラを向けてシャッターを押すと、インターネット上に公開された関連するアーカイブページへアクセスできるようになっている。また、入念な角度調整を幾度となく繰り返した末に、立体展示物における認識も実現した。さらに、バーズアイ瑞穂に写っている小中学校を撮影すると、各校の校歌が流れるという工夫も取り入れた。これらは町民から大変好評となり、リピーターが増え、来館者数は瞬く間に増加。加えて、地域を再認識することによる職員の知識向上にもつながった。

FUTURE

今後の展望

先進技術から生み出す新しい地域活性化の形

同館で被写体認証基盤サービスの運用をはじめた当初、「瑞穂町探検アプリ」がインストールされていたのは、館内貸出用のタブレットだけだった。しかしながら、より多くの人に利用してもらいたいという想いから、一般のスマートフォンやタブレットでも利用できるようにアプリの配布を開始。館内だけでなく、町内に点在する文化財や見どころにも対応させることで、現地を訪問した人がスマートフォンやタブレットに昔の写真を表示したり、由来や説明を閲覧したりできるようになった。

また、瑞穂町では、町内の観光資源を回遊できる「みずほきらめき回廊」が整備されており、そこで「瑞穂町探検アプリ」を活用することで、さらなる地域活性化を促進した。そして、次の目標は多言語化だ。瑞穂町は、隣接している米国空軍横田基地の米軍兵士とその家族との交流を盛んに行っている。そんな彼らにも過去から現在に至るまでの瑞穂町の歴史を知ってもらうための取り組みだ。これは、国際理解や国際交流を推進していく上で、有効になると期待が寄せられている。こうした瑞穂町の取り組みは、他の自治体からも注目されており、問合せや視察が相次いでいる。

また、実際にシステムを導入した別の博物館では、「来館者の撮影場所」や「撮影した先で閲覧されているページ」といったログを集計し、来館者の動向を予測することで展示の仕方や解説方法に役立てるなど、用途の広がりを見せている。NECネクサソリューションズは、この先も新しい技術を用いたソリューションを生み出しながら、地域の未来を広げ続けていく。